世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第260回 東京都とシンガポール (2/3ページ)

週刊実話

東京が「サービス業」中心の経済を成り立たせていることが、理解できるだろう。
 サービス業には、製造業とは異なる特徴が複数ある。具体的には「生産と消費が同時に行われる」「在庫や運送が不可能」などだ。例えば、東京ディズニーランドやディズニーシーが提供してくれる「エンターテインメント」のサービスは、舞浜以外で消費することはできない。無論、サービスを在庫し、運送することも不可能だ。
 別の見方をすると、サービス産業中心で経済成長を達成したいならば、人口が集中していればいるほど都合がよいという話になる。何しろ、日本の東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は人口3700万人を超す、世界最大のメガロポリスである。人口が膨張し、東京都、あるいは東京圏は、「人口が集中している」ことでメリットを受けるサービス産業を中心に繁栄した。
 シンガポールも同じなのである。実は、シンガポール国民の合計特殊出生率は、1.2台前半と、日本よりも低い。シンガポールは日本以上に少子化が進行している。それにも関わらず、「人口が集中している」ことが望ましいサービス産業を中心に成長している。なぜなのだろうか。もちろん、シンガポールには「移民」という形で、外国人が流入し続けているためだ。すでに、シンガポールの移民人口比率は4割を超えている。

 「外」から人々が流入し続け、サービス産業中心に経済成長を遂げている。ここまでは、東京都とシンガポールは、まるで双子のように似ている。
 とはいえ、東京都とシンガポールには二つ、決定的な差異があるわけだ。

 一つ目は、東京都に流入する人々は、都民と同じ「日本国民」であるのに対し、シンガポールは「外国人」という点だ。同じ日本国民である以上、東京都に流入する人々は、当たり前だが日本語を話す。それに対し、シンガポールに流入する人々は外国人だ。本連載(第212回など)で解説してきたが、移民受入、安全な国家、そして国民の自由の3つを同時に成立させることは不可能だ。すなわち、移民政策のトリレンマである。
 移民政策のトリレンマがある以上、シンガポールは「国民の自由」を犠牲にする形で、安全な移民国家を実現せざるを得なかった。

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