世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第260回 東京都とシンガポール (3/3ページ)
国民の自由を奪い、ようやく安全な移民国家を実現しているのがシンガポールという国なのだ(別に、シンガポールを悪く言いたいわけではないが)。
東京都の場合、流入する人々は「移民」ではなく「国民」である。東京都の場合、移民政策のトリレンマは適用されない。同じように「外」からの人口流入により繁栄しているのだが、東京都はシンガポールとは異なり、自由と安全を両立させている。
二つ目、シンガポールは地震が(ほぼ)発生しないが、わが国は世界屈指の震災大国という点である。東京都にしても、首都直下型地震の30年以内の発生確率は70%。震災大国の日本の首都「東京都」が、シンガポールと同じ経済成長を追求していいはずがない。とはいえ、現実の日本では東京一極集中が続いている。
わが国は震災大国である。そうである以上、東京圏ではなく「地方」にリソースを分散させる形の経済成長路線を模索するべきなのだ。日本全国で、各地域がそれなりに経済成長し、いざ震災等の大規模自然災害が起きた際には、互いに助け合う必要がある。
震災大国の首都圏が、地震が起きないシンガポールと同じ成長モデルを追求してしまった。これがいかに危険か、日本国民はいい加減に理解しなければならない。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。