心理学を悪用した非人道的な10の事例 (4/7ページ)
ヘブは日給20ドルを与えて学生を集め、数週間観察してきちんとデータをとるつもりだったが、誰ひとりとして一週間も持ちこたえられなかった。
学生たちは、つや消しのゴーグル、ホワイトノイズ(あらゆる可聴周波数のノイズ)を発するヘッドホンをつけ、あえて触覚も制限された服を着せられた。その結果、彼らは一時的に認識機能障害になり、暗示にかかりやすくなることがわかった。今でこそこのような実験は非人道的だと思われるが、当時はヘブは被験者を苦しめるようなつもりはなかった。ただこれほど早く劇的に実験の影響が出てきたことに驚きを隠せなかったという。
のちにユーアン・キャメロンという心理学者がヘブのこの実験に興味をもち、治療と称して、自分で考案した感覚遮断を患者に施した。患者を病院に監禁してどこにも行かせず、感覚を遮断して、薬で暗示をうけやすい状態にさせ、彼らを“再プログラム”しようとした。ヘブ自身が”邪悪である”と語っていた実験を再び行ったキャメロンが訴えられたことは言うまでもない。
・5. 精神分析医による恐怖支配”ガス燈”実験
映画『ガス燈』は、よこしまな夫が妻に心理戦をしかけて追い詰めていく話。そのトリックのひとつが、家の中のガス燈の明かりを消して、妻が明かりが暗くなったと言うと”気のせいだ”と言い張るやり方。人をだます人間がよく使う、相手の言っていることに疑問を投げかけて、その事実を歪め、簡単に相手をコントロールする方法だ。
残念ながら、心理学の技を学んだ者が同じような手を使うことがある。ある医者が精神治療学を悪用し、ある種のカルト集団をたちあげて、患者に性的虐待を与えた。ついに医者は告発されて、その恐怖支配は終わりを告げたが、患者のひとりはトラウマからあやうく自殺しそうになったという。