【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第27話 (6/6ページ)
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「おみつ、おめえ、ほんにすげえよ!ありがとう、ありがとう・・・・・・」
国芳は無邪気に喜び、みつの事を腕の中にぎゅっと閉じ込めた。
女の髪から身体から、鬢付(びんづけ)と伽羅(きゃら)の香の混ざったような馥郁とした匂いが香って、男を天にも昇るような心持ちにさせた。
「あのね」、
しばらく二人きりでしたたかに戯れた後、服の乱れを整えたみつが照れくさそうに切り出した。
「九郎助稲荷の近くで、江戸町の見世のお職上がりの姐(ああ)やんがあんころ餅屋をやってるんだけど」、
「へえ、知らねえなア」
国芳は顎に指を当てた。
「その見世はね、姐やんが長年約束した間夫と年季明けに夫婦になって、旦那と二人でやっていて、それで、・・・・・・」
みつの言葉は段々尻すぼみになって、消え入るようだった。
俯くと、睫毛の長さが際立つ。
国芳はそのいぢらしい姿に思わず喉の奥で笑い、
「・・・・・・行くか」、
男らしい手で、みつの白い手を取った。
「あやかりに、な!」
顔をあげたみつの瞳が、星を湛えた七夕の夜の天の川のようにきらきらと輝いた。
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