死にゆくオフィーリアから白ユリの美少女まで、ロンドンの「テート・ブリテン」で絶世の美女に会う旅 (5/9ページ)

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ラファエル前派の作品群の中で、そして、テート・ブリテンが所蔵する作品の中でも、おそらく日本で最も有名なのがミレイの傑作であるこの作品ではないでしょうか。

シェイクスピアの戯曲「ハムレット」の登場人物であるオフィーリアは、デンマーク王子のハムレットに翻弄されたのち、父を殺されて半狂乱になり、木の上から川に落ちて死んでしまいます。

むせ返るような濃い緑が溢れる小川の中、口を半開きにし、水に流されながらかすかに歌を口ずさむオフィーリア。その顔に生気はなく、魂さえ抜けているかのように見えると同時に、すべての苦しみから解放され、安堵しているかのようにも見えます。
手の周りに浮かんでいるのは、象徴的な花。ポピーは死を意味し、デイジーは無邪気、パンジーは思考を意味します。水際には青く小さな花をつけた忘れな草が描かれています。

縦約76センチ、横約112センチのこの絵の中に描かれている象徴は植物だけではありません。茂みの中に死を象徴するドクロが描かれています。

この絵のモデルを務めたのが、ラファエル前派のミューズとして当時画家たちの間で引っ張りだこであったエリザベス・シダルという女性です。

ミレイはオフィーリアが水に浮かんでいる様子を描くため、服を着たままのシダルを金属製のバスタブに入れました。バスタブの下にランプの火を当てて水を温めながら描いたものの、その火が消え、シダルが寒さに震えるのにも気付かないほど、制作に熱中したのだそう。

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