死にゆくオフィーリアから白ユリの美少女まで、ロンドンの「テート・ブリテン」で絶世の美女に会う旅 (6/9ページ)
そのせいでシダルは体調を崩したため、彼女の父親がミレイに治療費を請求したという逸話があるほど、ミレイが心血を注いだこの作品。
緻密な自然の描写、オフィーリアの圧倒的な美しさ。ミレイの魂がこもった必見の作品です。
・ロセッティの傑作「プロセルピナ(Proserpine)」
1874年、展示室1840
2014年に東京の森アーツセンターギャラリーで開催された「テート美術館の至宝 ラファエル前派展」のポスターに登場し、強烈な印象を与えたのが、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティのプロセルピナです。
豊かな黒髪にすっと伸びた鼻筋、分厚く真っ赤な唇同様の赤いザクロを手にし、心ここにあらずといった様子でどこか一点を見つめるプロセルピナ。
取材時(2018年10月現在)は、壁の少々高い位置に展示されており、鑑賞しづらいのが残念だったのですが、それでもその他多くの絵画に囲まれながら、一際の存在感を放っていました。
ローマ神話の女神、プロセルピナをモチーフにし、冥界の王プルートに誘拐され、1年の半分を冥界で暮らすことになってしまったプロセルピナの憂いに満ちた姿を描いています。
・「カーネーション、リリー、リリー、ローズ(Carnation, Lily, Lily, Rose)」
1885-6年、展示室1840
背の高いユリ、黄色のカーネーション、可憐なピンクと深紅のバラが咲き乱れる、夕暮れ時の薄暗い庭に、優しく灯る提灯の灯り。ヴィクトリア時代の少女の特徴的な服装であるコットン・ドレスを着た2人の少女が、提灯に火をともしています。