世界初の遺伝子編集された人間の赤ちゃんが誕生したと主張する科学者。HIVに対する免疫を持つ(中国) (6/7ページ)
賀氏はこうした懸念が起きることは予測していたようで、中国のSNSで「病気の治療や予防目的での遺伝子編集は支持するが、IQ(知能)の改善は支持しない。それは社会のためにならない」と投稿している。
・科学が人間の進化にどう関与していくのか?
それでもなお、HIVを予防するためにCCR5の除去するという方法は、十分な説得力がないかもしれない。
現在ではもっと安価で簡単なHIVの予防法があるからだ。
CRISPRで胚の遺伝子を除去する方法は、高価かつ高度であり、HIVが大問題となっている貧しい国々の人たちにはとても気軽に使えるものではない。

image credit:H. MA ET AL./NATURE
賀氏を知る人物によると、彼の科学的な態度は、地域社会の善が個人の倫理観や国際的なガイドラインより優先されるという、中国では広く根付いた社会的な態度に沿ったものだろうという。
だが、この治験の裏には、さらに大胆な思想が隠されている。「――科学によって進化をどのように形作ることができるだろうか」という思想だ。
CCR5が機能しなくなる自然の突然変異は、中国ではなく、ヨーロッパ北部の一部で多い。遺伝子工学で、このような長い時間をかけた進化の中で発見された天然の発明を利用し、未来の子供たちに伝えようというのだ。
こうした思考は、リスクもあるが、病気にならない遺伝子だけを持ち、アルツハイマー病や心疾患などで苦しむことのない人々を将来的に作り出すかもしれない。
賀氏のサイトからは、彼がこの編集技術を同じような視点から捉えていることが窺える。