今昔物語集の素敵エピソード!尊すぎる…勘違いから夫婦が復縁、男が思い出した大切なこと (1/7ページ)
昔から「畳と女房は新しい方がよい」などと言いますが、真新しい藺草(いぐさ。畳表の原料)の香りはともかく、若いばかりが女房の、ひいては女性の魅力ではないと思います。(もちろんそれは男性にも同じことが言えます)
そこで今回は、日本最大級の説話集『今昔物語集』より、こんなエピソードを紹介します。
愛しい「あの人」に届け物昔むかし、どなたとは申しませんが、人品いやしからぬ君達(きんだち。良いとこのおぼっちゃま)がおりました(以下「男」とします)。
その方は典雅を愛する風流人で、永らく通い、連れ添った妻がおりましたが、近ごろは今めかしき女性(以下「新妻」とします)に目移りしてしまい、いつしか妻の元へは通わなくなってしまいました。
最後のお逢いしたのはいつだったかしら……と、寂しく夫を待ち続ける妻などお構いなしに、男は摂津国(現:大阪府北西部)へバカンス……もとい出張に行ってしまいました。
さて、男が難波の浜辺を歩いていると、何やら珍しいものを発見します。
それは小さな蛤(ハマグリ)の貝殻から海松(みる。海藻の一種)が房やかに生えているもので、さながら「海の盆栽」を思わせる風情を湛えています。
蛤と海松(イメージ)。この両者がくっついていたそうです。