今昔物語集の素敵エピソード!尊すぎる…勘違いから夫婦が復縁、男が思い出した大切なこと (3/7ページ)
「お届けもんでごぜぇやす」
「今めかしき新妻であれば、どうせ通うのだから、自分で届けた方が喜ばれるし、土産話も盛り上がるだろう。となれば、わざわざ使いを立てた以上は、自分の足が向かない(であろう)妻の方へ届けさせたかったに違いない」
という訳で、蛤&海松の贈り物は、妻の方へ届けられたのでした。
「……珍しいこともあるものねぇ……」
男からの贈り物を受け取った妻は、盥に水を張った中へ蛤&海松をそっと入れて、飽かずに愛でておりました。
(まぁ、大方あの童が届け先を間違えたのでしょうけど)
妻は、本当は察していました。それでも、せっかくの贈り物がとても嬉しかったので、大切にとっておくことにしたのでした。
「こうしていると、京にいながら海辺のように素敵な潮の薫り。あぁ、早く彼が帰って来ないかしら……」
そんな事とも露知らず、男は十日ばかりのバカン……もとい出張を終えて京の都へ戻ると、真っ先に今めかしき新妻の元を訪ねたのでした。
蛤を「焼いて食いたい」!?「先日、童に届けさせた贈り物は如何かな?まだ取置いてくれてあるかな?」
【原文】「何(いつ)シカ彼ノ奉リシ物ハ侍(はべ)リヤ」
と、男がニッコニコで(打咲て。うちゑみて=笑みて)尋ねたところ、新妻はきょとんとして
「贈り物なんてなかったわ。何それ?」
【原文】遣(おこせ)タリシ物ハ有シ(あらじ=無い)。