バカしかいないSNSという地獄空間(ロマン優光) (4/7ページ)
まず一つは、「他者を批判することは良くないことである」という考えが広い範囲に浸透しているということです。
「プロの物書きなんだから批判するべきではない」という内容のことがつぶやかれているのを何度か見るようになりました。こういう内容の文章を初めて見たときに本当にびっくりしました。批評というものは、対象をじっくりと分析し、良いところは評価し、良くないところは批判するものです。それは、評者にとって良いと思えることだけだったら良いところだけ書けばいいので書く方も楽しいとは思いますが、良いと思えないものを良いと書くわけにはいきません。それが多少の傷だったら、その他の部分のことだけを書けばいいのですが、それで対処できないくらいひどいと感じたなら批判するのは仕方がないことです。
これが素人であれば、黙っていればいいだけだと思うのですが、プロのライターや評論家が仕事としてやっている場合、何事に対しても全く批判を交えずに原稿を書くことなんて無理な話です。もし、そういう人がいたとするなら、自分の好きなものに関してだけ書いていてもいいぐらい仕事を選べる立場の人か、仕事に対して不誠実な人間かどちらかでしょう。
傷があまりないようなものに対してまで、無理矢理にあら探しをしてまで悪く言っているような原稿もあります。そういった原稿は確かに良くないし、評価するに値しないでしょう。そもそも、批評というのは自分の好き嫌いは、いったん横に置いて分析をし、どんなに嫌いなものであっても認めるべきところがあるものは認めなければならないものだと思うのです。無理矢理に悪いところを探すのはおかしな話です。
プロによる批判を否定している人たちが自分の好きなものが批評されて、それが受け入れ難かった場合どうするのか。批判を否定しているのだから、批判をするべきでないと言って終わらせるのかと思いきや、評者に対する人格批判や罵倒を始めてしまう人もいるのです。批評というのも一つの作品ですし、批評自体が批評されるのは当たり前のことです。しかし、ただ単に感情的に評者を攻撃してしまうのは話が違うのではないでしょうか。批判は良くないけど、罵倒は許されるというのは理屈として全く理解できないです。