<東京暮らし(15)>ケーキと神社と両さんと (3/6ページ)
結局、2010年の「ワールドペストリーチーム チャンピオンシップ」で優勝を獲得した「ピクシー」と、円錐形のクリームに包まれた「タルトバナーヌ」、そして定番の人気商品「ショートケーキ」をチョイス。タルトバナーヌをいただきながら、シェフの手が空いてお話が聞けるタイミングを待つことにした。
そこへ、ラッキーなことに神社宮司の唐松範夫さんが境内を通りがかり、唐松さんにも話を聞くことができた。
全国でも珍しい、少なくとも東京では他にない、神社境内のケーキ屋さんとカフェは、唐松さんから五十嵐さんへのラブコールから始まり、実現したのだという。
ラ・ローズ・ジャポネは元々、五十嵐さんが近くの金町に2012年にオープンしたもの。美味しいケーキ、今と同じようにガラス張りで活気あるお店、きびきび動いて親切で明るいスタッフ、彼らを率いる五十嵐さんの熱烈なファンになった唐松さんは、ぜひこのお店を境内でやってもらえないか、直談判に訪れたのだという。
「金町のラ・ローズ・ジャポネさんには、葛飾区にはそうそうないような、洗練された活気と、ポテンシャルの高さを感じました。門前で五十嵐さんにこのお店をやっていただければ、神社もステップアップできて、自分もスキルアップできると感じたんです。神主は狭い世界で生きていますから、保守的になりがちですが、五十嵐さんとなら互いに高め合って、よりよい場所にしていけるのではという直感がありました。その直感は当たって、今でも人柄を含め、あんな方は他にいないと思っています。最初は熱意と夢だけで、設計図と模型を持って『お願いします』と押しかけた私の話を、五十嵐さんは聞いてくれて、最終的には、金町店がまだ4年目だったにもかかわらず、こちらへの移転を承諾してくれました」(唐松さん)
三代目宮司の唐松範夫さん 途中から、手を空けてインタビューの場に同席してくれた五十嵐さんも言う。
「最初は漠然とした話だったんですよね。