諸行無常の響きあり…裏切りに絶望した悲劇の貴公子・平清経の生涯(上) (1/5ページ)
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
おごれる人も久しからず 唯春の夜の夢のごとし
たけき者も遂にはほろびぬ 偏に風の前の塵に同じ……
……有名な『平家物語』の冒頭部ですが、平清盛に代表される平家一門の隆盛と衰亡ほど、世の無常さを表すエピソードもないでしょう。
そして興る時、栄える時よりも衰える時、滅びる時ほど鮮烈なエピソードが伝えられるものです。
今回は滅びゆく平家一門の中から、悲劇の貴公子・平清経(たいらの きよつね)のエピソードを紹介したいと思います。
18歳で颯爽と初陣!平清経のプロフィール平清経は長寛元1163年、平重盛(たいらの しげもり。平清盛の長男)の三男として生まれ、平清盛の孫に当たります。
母親は重盛の正室・藤原経子(ふじわらの けいしorつねこ)、同母弟には四男・平有盛(ありもり)、五男・平師盛(もろもり)、六男・平忠房(ただふさ)がいます。