やっぱり浮世絵師・鈴木春信が好き!代表作「風俗四季哥仙」に観る春信の魅力 その2 (7/8ページ)
きさらきや けふ初午の しるしとて いなりの杉ハ もとつはもなし
光俊朝臣『新撰和歌六帖』より
(訳)如月の初午に参詣した人々が、そのしるしとして、杉の小枝をとっていくので、稲荷山の杉はすっかり葉がなくなってしまった。
如月とは二月こと。その二月の最初の午の日に、全国の稲荷神社では“初午大祭”が行われます。落語に江戸の名物として「武士、鰹、大名、小路、生鰯、茶店、紫、火消し、錦絵、火事に喧嘩に中っ腹、伊勢屋、稲荷に犬の糞」という言葉があります。それほど“お稲荷さん”は神社だけでなく、ほこらや、武家屋敷・長屋の共同スペースなど江戸の町のあらゆる所にありました。それほど稲荷信仰が盛んだったのです。
もともと京都の伏見稲荷の主神ウカノミタマガミは“田の神”でした。