<東京暮らし(16)>「不登校」を考える (6/6ページ)

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ランチが出来たら西野さんもスタッフも子どもたちも、席に着いた順にいただく テーブルを囲んでみんなで食事。「作ってくれた人、ありがとう」という声が飛び交う

西野 かつて学校は、子どもの居場所であり、学びの場だったんですよね。だから、例えば家で困ったことがある子でも、学校に来ればご飯(給食)も食べられて、友だちもいて、勉強も教えてもらえて。僕らは放課後、先生とドッジボールして遊びましたよ。それが今、いろんなことが変化して、放課後は学校に残っちゃいけない。競争社会が学校の中にまで入ってきて、先生と子どもの関係性も変わってしまった。親も生きにくい、親も孤立してるんですよね。子どもと家族に自己責任を問う、新自由主義のひずみというか。子どもはね、不登校だろうが、大人たちの肯定的なまなざしがあればちゃんと育つんですよ。子どもそのものを「大丈夫だよ」って見て、丸ごと信じる。そうすると子どもは安心して、やる気を出して、見事に育つんです。

子どもたちは代わる代わる、西野さんにグループで突進して、あるいは一人ずつまとわりついて、「ねえねえ、ニシヤン」「ニシヤン、聞いて!」と話しかける。西野さんはその度、「お!なんだ?」と向き合い、話を聞いて、笑っている。こういう相手が必要なんだな、子どもには。

取材を終え、広大な敷地の夢パークを出て、最寄りの南武線・津田山駅へ向かうのどかな風景を眺めながら、私は西野さんの言葉を思い出していた。

「人間が育っていくのに、何が必要かと常々思うんです。僕らがつくっているのは、誰もが排除されない居場所、一緒に生きていく仲間かな」

一緒に生きていく仲間がいない孤独、居場所がない心細さ。想像すると背筋が凍るが、そんな思いに追いつめられている子どもや大人がいたら、西野さんに教わった通り、「一人じゃないよ」というメッセージを伝えられる人間でありたい。

中島早苗今回の筆者:中島早苗(なかじま・さなえ)1963年東京墨田区生まれ。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「モダンリビング」副編集長等を経て、現在、東京新聞情報紙「暮らすめいと」編集長。暮らしやインテリアなどをテーマに著述活動も行う。著書に『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)、『建築家と造る 家族がもっと元気になれる家』(講談社+α新書)、『ひとりを楽しむ いい部屋づくりのヒント』(中経の文庫)ほか。
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