あなたが知らない「絵の具職人」の1日 8時間ずっと、同じ色を見つめ続けて... (6/6ページ)
『良い絵の具に仕上がってくれた』と」(鈴木さん)
鈴木さんは、絵の具を作っている時こそ無心で作業に集中しているが、チューブに詰めるときには「これが(絵を描く人に)届けばいいな」と考えているそう。そして、より多くの人に使ってもらえるよう、常に絵の具の「新しい着地点」を目指して研究を重ねているという。
チューブに充填された「ライトレッド」
「月光荘の絵の具を昔から好んで使ってくださっている方は多いです。いつも考えているのは、前から使ってくださっている方々の期待に添いながらも、よりよい着地点はあるんじゃないかということ。
昔から好きでいてくれる人の期待にも応えながら、新たに使ってくださる方にもちゃんとマッチするような色を作っていきたいと思っています」(鈴木さん)
1色の絵の具を作るために、これほどの手間がかけられているとは...。
図画工作に苦手意識のある筆者でも「こんな絵の具で絵を描いてみたい」と思わされた。すると、「色を重ねるだけでも楽しいですよ」と鈴木さん。
月光荘画材店の絵の具
月光荘には様々な色の絵の具がある。油絵の具だけでなく、水彩絵の具やアクリル絵の具も扱っている。
数多くの絵の具の中から、自分のお気に入りの1色を見つけてどこかに塗ってみる。たとえ絵が描けなくても、それだけで十分楽しめそうだ。