「無駄な時間が9割」。でも、その時間が開高健ノンフィクション賞受賞作を生んだ (7/9ページ)

新刊JP

――理解の手がかりとして個人的に分かりやすかったのが、第5章に登場するエドヴァルドとティナのカップルです。エドヴァルドがズーで、犬のバディというパートナーがいる。ティナはエドヴァルドの彼女で同居している。複雑な関係ですが、ティナはエドヴァルドがズーであることを理解しています。そのきっかけになったのが日本のアニメである『ワンワン三銃士』だったというのは、驚きました。

濱野:そうなんですよね。ティナは子どもの頃にそのアニメを見ていて、主人公の犬のダルタニヤンとセックスする夢を見た、と。エドヴァルドの打ち明け話を聞いて、ティナはその記憶を呼び起こすんですね。

――自分にもズー的な部分があると思ったから、エドヴァルドを理解できると。

濱野:はい。彼女は彼女なりの方法で、ズーを理解していくんです。彼女自身はそれまで、現実の動物に対して性的欲望を感じたことはなかったし、ズーというもの自体も知らなかったのに、アニメを通して覚えた感覚をきっかけに理解が進むところは、私も興味深く感じました。

――そして濱野さんが帰国されてから、ティナから「バディとセックスしたよ」というメールが届きます。素晴らしい喜びがあったと。濱野さんの「セックスではこの三者は排他的ではなく、むしろ三者が揃うことで成立する」というのは象徴的な言葉だなと。

濱野:そうですね。ティナとエドヴァルドとバディの関係性は複雑ですが、そこにあえて名前を付ける必要もないと思います。一つの言葉としてまとめてしまうのは簡単ですが、そうすると見落とすことがあまりにも多くなるのではないかと思うんですね。
彼らが実践している生活が私にとっては大切です。二人と一頭は今後もその関係を続けていって、私はこれからもその様子を観察させていただくことになるでしょう。

■この本を出版できたのは、日本だからこそ

――動物性愛者の団体は世界的にもドイツのゼータだけだそうですが、それはドイツの国柄なのでしょうか。

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