どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【完】 (3/7ページ)
すっかり忘れ去られているのだから経済援助も当然なく、もういよいよ屋敷もつぶれそうなくらいに荒れ果てています。
「せめて、どこかもう少しマシな所へ引っ越しましょうよ……」
「……嫌よ……そんなことをしたら……我が背の君(伴侶=夫のこと。ここでは光源氏)がわたくしを訪ねて来られなくなってしまうから……」

いつか必ず我が背の君が、ここを訪ねてくれる筈……「源氏物語図 蓬生」桃山時代
(いやいや……誰もあなたの事なんて訪ねて来やしませんから!)
頑なに光源氏を待ち続ける末摘花の姫君に、侍女たちは愛想を尽かして次々と出ていってしまいました。
今にも朽ち果てんとする屋敷の中、独りぼっちで残された末摘花の姫君。もしかしたら、光源氏を待ち続けたと言うより、もはやどこかへ移り住む気力すら失くしていたのかも知れません。
(……もう幾日も、水しか口にしていない……)
亡き父・常陸宮が自分のために造ってくれたお道具(日用品)でも売れば、いくらか糊口をしのげたでしょうが、こんな自分にかけてくれた父の深い愛情を思うと、とてもそんなことは出来ません。
(わたくしはもう……このまま儚くなって=死んでしまうのかしら……)
すっかり元気をなくした末摘花の姫君は、御簾越しに月を眺めながら、ぼんやり死を待つよりありませんでした。