武士の身分を取り戻せ!明治維新の戦場を駆け抜けた甲賀忍者たちの武勇伝【中】 (4/5ページ)
味方の死傷者はおびただしく、岩国藩と高鍋藩、そして旗本隊は一度距離をとって睨み合いました。
「うぅむ……さすがは酒井家、聞きしに勝る戦ぶりよ……とて感心ばかりもしておれぬが、いかが致そう」
両藩の大将が考え倦(あぐ)ねているところへ、甲賀隊が「畏れながら」と進言します。
「手前ども、旗本隊が山中を迂回し、敵の左翼を衝きましょうぞ」
確かにそれが出来れば妙案ではありますが、そのルートは非常に険阻で、かつ途中には渓流もあって闇夜を進むのはリスクが高すぎ、とても現実的な作戦とは言い難いものでした。
作戦決行!険阻な山中を迂回して、敵の左翼を衝く甲賀隊しかし、甲賀隊には自信がありました。
「左様な事もあろうかと、あらかじめ物見を巡らして地形を検分し、また敵陣の弱点も探り申した。