死の受容を考えれば遺族本位の葬儀も悪くないし故人もそれを尊重しても良い (1/2ページ)
人には遅かれ早かれ、最期の時がやってくるということは言うまでもない。そうである以上、自分自身はもちろん、人生の中で、「自分にとって大切な人」の最期に立ち会う機会は、誰もがいずれは経るものである。大切な人の死は、誰にとっても耐え難い苦痛を伴うものだ。そんな、他にたとえがたい苦痛を伴う大切な人の死に直面した時の人間の情動、感情の変化について、今日は少し冷静に、客観的に、科学的に考える。
■エリザベス・キューブラー・ロスが説いた死の受容過程
スイス生まれのアメリカの精神科医、エリザベス・キューブラー・ロス(Eliabeth kü bler-Ross、1926-2004)は、医師としては初めて、人の死への感情について研究した。この時ロスは、人は死に向けて「否認と孤立」、「怒り」、「取引」、「抑うつ」、「受容」という5段階の感情変化を起こすことを発見した。今日の日本では大学において医学部の他、心理学関係、社会福祉関係の学部でも取り扱われる理論であるから、ご存知の方も多いことだろう。念のため、初めてこの理論に触れる方のために各段階について説明する。
■死の受容過程とは
まず「否認と孤独」とは、自分が余命いくばくもないことに対して「そんなはずはない」「何かの間違いだ」という感情を抱き、それに反して自身の死に向けて考えや行動を進める周囲に対しても距離を取ろうとする段階である。
次に「怒り」とは、自分がもうじき最期を迎えることを理解したのち、「なぜ私が死ななければらないのか」、「なぜ私なのだ」というように、自らに差し迫った死を不公平、不条理だと感じることだ。
続く「取引」とは、神仏に対して自らの死を遅らせることを願う段階である。行動の改善や慈善的活動への取り組みなどによって、自らの死が「放免」される、あるいは「猶予」されることを求めるようになる。
そして「抑うつ」とは、「取引」で行動を改めたにも関わらず、何ら好転することのない現状に絶望して、自分の死がもはや不可避的なものであることに悲嘆の感情を抱く段階だ。
最後に来るのは「受容」である。