「理想の女性」にただ一つ欠けていたもの…源氏物語の正ヒロイン「紫の上」の憂鬱【上】 (5/5ページ)

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愛妻同伴では反省の意思を示す説得力に欠けるため、とうぜん紫とは離れ離れに。

謹慎する光源氏。尾形月耕「源氏物語五十四帖 十二 須磨」より。

「どうかご無事で……」

悲しみに暮れる紫とは裏腹に、謹慎先でも明石の御方(あかしのおんかた)と懇ろになり、挙げ句は子供さえ作ってしまうのですから、光源氏ってのはつくづく懲りないヤツです。

その後、光源氏を失った京の都では不幸が相次いで混乱に陥ったため、その危急を救うべく華麗なカムバックを果たしました。

「もう二度と離れない……!」

須磨での浮気を咎めるよりも、再び会えたことの方がよほど嬉しい。波乱があってこそ盛り上がる二人の愛情はいよいよ深まり、これで今度こそハッピーエンド……と思いきや、作者はまだ試練を用意していたのです。

【続く】

(※1)比翼の鳥:一羽の身体に雌雄の両頭がついた伝説上の鳥で、互いに助け合わねば飛べないことから「夫婦のあるべき姿」とされました。
(※2)連理の枝:二本の木がくっついて一本となった状態、あるいは一度分かれた枝が再びつながった状態。こちらも生涯添い遂げる夫婦の喩えとされています。

※参考文献:
鈴木日出男 編『源氏物語ハンドブック―『源氏物語』のすべてがわかる小事典』三省堂、1998年3月
池田亀鑑『源氏物語入門』社会思想社、2001年4月
林田孝和ら編『源氏物語事典』大和書房、2002年5月
山本淳子『平安人の心で「源氏物語」を読む』朝日新聞出版社、2014年6月

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