もうひとつのキリスト教 ギリシャ正教の歴史や西方教会との違い (2/4ページ)

心に残る家族葬

西方教会ではラテン語が取って代 わることになる。こうしたことから正教ではイエス・キリストは「イエスス・ハリストス」と呼び、日本正教会の正式名称は「日本ハリストス正教会」である。神父・牧師に相当する聖職者は「神品」という日本人には耳慣れない呼称を用い、十字の切り方なども異なる。

■西方教会との違い2:異なる原罪の解釈

また、キリスト教における重要な概念である「原罪」についての解釈も異なる。西方教会では人間は堕落した存在であるとするが、ギリシャ正教では人間は善なるものとして創造されたとする。西方教会がエデンの追放による堕落説を強調するのに対して、ギリシャ正教は神の似姿として創造された点を強調する性善説を採用している。原罪や堕落はキリスト教全体の共通概念ではないのである。そしてさらにギリシャ正教の西方教会に対して特に際立った特徴としてイコンと「神化」の思想がある。

■神が人になった証

イコンはキリストやマリア、聖人の姿を描いた聖画である。ギリシャ正教ではイコンを非常に重視する。イコンは神が人(イエス)の肉を纏って降臨した「受肉」を表現したものである。旧約聖書の神は偶像崇拝を禁止した。しかし新約聖書では神の受肉(ギリシャ正教では藉身と呼ぶ)という奇跡が起きた。イコンは神が人の身体を纏って世に出た証である。人の姿を取るからこそ絵に描けるのである。他の宗教なら偶像になる聖画への崇敬だが、絵に描くことは神の奇跡の証をすることに他ならない。神の受肉を説くキリスト教ならではの発想といえる。ギリシャ正教はこの論理で、イコン廃止の危機(イコノスクラム=聖像禁止論争)を乗り越えた。西方教会ではプロテスタントが分かれ簡易化が進められたが、東方教会では頑なにイコン崇敬が根付いている。

「埋葬式」と呼ばれるギリシャ正教で執り行われる葬儀では、「パニヒダ」という死後神の国で安らぐための祈りが行われた後、その遺体、または遺体の額に紙製のイコンが巻かれる。イコンを遺体に巻くのはイエスと共にあらんことを願うためだろう。しかしそれだけではない。イコンは神の受肉の証であると同時に、人が神になれる証でもあるのだ。

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