戦国時代、殺された恋人の仇討ちをした悲劇の烈女・勝子の最期【後編】 (4/6ページ)
「さぁ、こちらへ!」
勝子が匿ったのは三河国(現:愛知県東部)の領主・大須賀五郎左衛門尉(おおすが ごろうざゑもんのじょう。康高)。見事に仇討ちを果たした勝子を大いに賞賛し、断固として守り通す旨を主君・徳川家康(とくがわ いえやす)に伝えます。
勝子を匿った大須賀康高(左)と徳川家康(右)。Wikipediaより。
「うむ。夫への深い愛情と仇討ちを果たした堅い意志は、男子(おのこ)にも勝る立派なもの……そんな彼女を、卑怯未練の連中に引き渡しては武門の恥辱ぞ!」
しかし、勝子が三河国にいると知った佐久間一族は執拗に引き渡しを要求し、それが通らないとなると、今度は主君である織田信長(のぶなが)を通じて圧力をかけてきました。
(※)勝子の旧主(庇護者)である信勝は、この時すでに信長によって暗殺されていたものと思われます。
信長は家康の「盟友」とは言いながら、その実態は主従関係にも等しく、織田家がその気になれば、徳川家など一ひねりです。