立川志の輔×渡辺正行「談志師匠が富山県知事に頭を下げてくれて…」爆笑スペシャル対談 (4/6ページ)

日刊大衆

もう2人は、舞台に出てくるだけで、お客さんから「面白い」と思われる人になろうとしてるんだよ。

渡辺 ああ、なるほど。

立川 それは落語でも同じこと。5代目古今亭志ん生師匠は、高座に出てきて、座布団の上で何もしゃべらず寝てても、お客さんは喜んだというし、師匠談志もまた、それに憧れていたんだよね。

渡辺 そうでしたか。

立川 でも今思えば、俺が落語を観て初めて、「ああ、この人はお客さんを楽しませようとしてるんだなあ」と感じたのは、落研時代のナベちゃんなんだよ。

渡辺 ホントですか〜!?

立川 うん。落語のルールどうこうよりも、そんな気持ちが、こちらに強く伝わってきたものだよ。

■談志師匠から一番影響を受けたものは?

――そんな志の輔さんは、談志師匠からさまざまな影響を受けている。その中でも一番と言えるものは何なのだろう?

立川 師匠が色紙に書く言葉で最も多かったのが、「人生成り行き」。俺たち弟子に対しても、「人生なんて成るようにしかならねえよ。まあ、なんかうまくやれ、弟子ども」とか、よく言ってたし。でもね、横でカバン持ちをしてると、師匠自身はちっとも成り行きじゃなかった。性格的に細かくて細かくて……。しょっちゅうメモを取るんだけど、そのメモの文字も細かくて小さいもんだから、自分で何を書いたのか分からない。「おい、これは何て書いてあるんだ?」って聞かれるんだけど、さすがに師匠が読めないものを、俺が読めるわけないよね(笑)。

渡辺 わははは。

立川 ああしたら、こうなる、こうしたら、ああなる……ずっと考えている。たとえば、今日はあいつと待ち合わせだ。じゃあ、俺が先に行って待ってたほうがいいのか、それとも、あいつのほうが先か……。そんなふうに、毎日、嫌というほど、緻密に物事を考えながら生きてた人だったね。

渡辺 はあ〜。

立川 人生、成り行きどころか、人生をデッサンしてたから、自分の人生に必要だと思えば、国会議員にもなる。落語の稽古だって、見えないところでしっかりと積み重ねて、絶対に手を抜かなかった。

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