立川志の輔×渡辺正行「談志師匠が富山県知事に頭を下げてくれて…」爆笑スペシャル対談 (3/6ページ)

日刊大衆

でも、3年目くらいのとき、三宅さんから「ナベ、もう、やめようか?」ってダメ出しされたこともあるんですけど(笑)。

立川 ははは。年に一度、あそこで先輩の三宅さんと後輩のナベちゃんを同時に観ることができるのは、俺にとってホントに楽しみでね。他の演劇だと、どういう演出で、どういう芝居をするんだろうといった気持ちがあるから、いい意味で緊張するんだけど、「熱海五郎一座」のときはもう、緩みっぱなし(笑)。だから、ホントの客になれる。あの頃の2人に出会えているという幸せ感に、俺はいつも客席で包まれてるよ。

■高座で寝てても面白い志ん生

――芸に対する3人の共通点。それは、どれだけキャリアを積んでも変わらない「目の前のお客さんを楽しませたい、笑わせたい」という一途な思いである。

立川 確かに、俺も1983年に立川談志の門を叩いた当初は、お客さんを楽しませるというよりも、落語はどういうものかを語ろうとする意識が強かった。師匠に落語を教わり、師匠のコピーをすることを最優先にしてた。だから、3年目を迎えた頃、師匠のご贔屓さんから「だいぶ師匠に似てきたね。よかったよ」って言われたときは、ホントにうれしかった。

渡辺 そうですよね。

立川 ただ、師匠と同じことをやっててもかなわないから、何か違うことをやっていかなきゃいけない。自分の個性を出していくことが求められるわけだけど、そうした中、いつしか落語を語るというよりも、お客さんのことを考えるようになった。つまり、「せっかく今日来てくれたんだから、楽しんでもらいたい、笑ってもらいたい」という意識に変わっていった。

渡辺 志の輔さんが独演会とかで2時間半しゃべり続けるパワーは、そこから来てるんですね。僕は、「もっとコンパクトにしてもいいんじゃないか?」って思ったりもするんですけど。

立川 お客さんに楽しんで帰ってもらう、そのためなら俺にとっては30分も2時間半も変わらないよ。だけど、熱海五郎一座のときの三宅さんもナベちゃんも同じでしょ。難しいテーマや物語性ではなく、娯楽性を重視してる東京喜劇の“軽演劇”。その極致に行こうとしてるわけだよね。

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