続・コロナ医療「ナース残酷物語」、最低水準の日当と専門病床数のデタラメ (2/3ページ)
政府は都市部で新型コロナ重症患者向け病床を新たに設けた病院にベッド1床あたり1950万円、中等度〜軽症者向けには1床あたり900万円の補助金を出すことを決めました。ですが、そんな補助金目当てに重症患者を受け入れる病院はないと思います」
現役看護師でもある筆者が補足すると、新型コロナ重症患者を受け入れるにあたり、専属医師、人工肺などの医療機器を扱う臨床工学技士、患者の身の回りの世話から掃除消毒までする看護師、コロナ担当看護師に代わり必要物品を調達したり食事を病室に運ぶ看護師‥‥常時6人〜8人の医療スタッフが必要となる。コロナ治療チームはどんなに長くても8時間ごとに交代、コロナ治療にあたった職員はその後、休養と健康観察を要するので、最低でも6人×3交代=24人以上のスタッフを必要とする。
一般的な病院で、病棟の1フロアに勤務する看護師の人数は24人〜30人。中小の民間病院では20人以下で日勤と夜勤を回しているため、1フロアで1人のコロナ重症患者を診るとしたら、そのフロアに入院している全ての入院患者に転院してもらうか退院してもらわなければ、コロナ診療はできない。1950万円の補助金を1回もらっただけでコロナ重症患者を受け入れることなど、不可能なのだ。
「コロナ患者は入院が長期間にわたり、診れば診るほど病院は赤字になる、風評被害で患者は寄り付かなくなる、命がけで働く医師や看護師、職員の給料は減っていく。こんな理不尽なことはありません。コロナ病床をそう簡単に増やせないことは分かっていたはず。対策が遅すぎました」(西日本の病院長)
菅内閣はいったい何を見て「コロナ対策予算は十分」と言っているのか。
さらに、先の戸田中央総合病院のような大病院は、数人のコロナ患者を診るよりも、救命救急医療体制の維持を求められている。
つまり菅政権が打ち出したコロナ病床の増床は、実現不可能な政策なのだ。その不可能なものを話し合うという、国会の茶番が繰り広げられている。
「重症患者よりも、1床あたり900万円の補助金が出る中等度〜軽症者の受け入れのほうが、中小病院にとっては現実的です。それでもコロナ患者を受け入れたために職員が大量に離職して病院経営が維持できない事態だけは避けたいというのが本音。