海辺の漂着物は誰のもの?オレのもの!中世日本の荒っぽい習慣「寄物」とは (1/3ページ)
♪美(うるわ)しき桜貝一つ 去り行ける君にささげん
この貝は去年(こぞ)の浜辺に われ一人拾いし貝よ……♪
※土屋花情 作詞「さくら貝の歌」より。
鎌倉の浜辺を歩いていると、時おり桜貝を見つけることがあります。他にも陶磁器の破片や馬の骨と言った日宋交易(10~13世紀)の名残やビーチグラス(海水や砂で丸くなったガラス片)など、ロマンあふれる宝物も発見できます。
そこで最近はビーチコーミング(漂着物蒐集)も人気ですが、厳密に言えば漂着物の所有権は所有者にあり、勝手に持ち帰れば遺失物等横領罪(刑法第254条)に問われる可能性があります。
とは言うものの、金銭的価値や所有権の事実が明らかでなければ大目に見られることがほとんどで、わざわざ取り返そうと争った話は聞いたことがありません。
一方中世の日本では、海に流れ着いたものを拾った場合、堂々と自分の所有権を主張できたそうで、この習慣を「寄物(よりもの)」と呼び、臨時収入源としていたそうです。
そこで今回は、この「寄物」にまつわるエピソードを紹介したいと思います。
取り締まり切れなかった「寄物」略奪時は鎌倉時代の寛喜3年(1231年)6月、鎌倉幕府が「海路往反(かいろおうへん。往来)の船の事」として、こんな法令を出しました。
【意訳】全国の地頭 各位
難破した船舶およびその積み荷等を「寄物」として略奪することを禁止する。