尊皇攘夷の志半ばに…誤解が生んだ幕末4志士の悲劇「四ツ塚様」事件【下】 (2/6ページ)
しかし「尊皇護国の志士を騙った強請(ゆす)りだろう」と侮辱され、怒った4名が抜刀すると文左衛門は逃亡、その妻と番頭が非礼を詫びて金子(きんす)の包みを差し出します。
「怖がらせてしまって申し訳ないが、この金子は尊皇護国のために役立たせていただく」
そう金子を受け取り、立ち去った4人を怨んだ文左衛門は……?
強盗の疑いをかけられ、必死の逃走「強盗だ!強盗が出たぞ!」
さて、4人が立ち去ったのを確認して店へ戻った文左衛門は、彼らを強盗として奉行所へ訴え、同時に村人たちをけしかけました。
「まだ遠くへは行っていない筈だ!探せ!探せ!今すぐ殺せ!」
農民たちは竹槍や火縄銃を手に手に結集し、街道を進んで4人を追いかけます。
「いたぞ!逃がすな!」
「浪人を捕らえれば懸賞金がもらえるぞ!」
「いいから殺せ!八つ裂きだ!」
迫り来る農民たちの様子に、自分たちが強盗の疑いをかけられたことを察した4人は必死で逃げます。