写経はどうして生まれたのか。写経によってどんな効果が得られるか。 (3/3ページ)
自ら筆を取ることのなくなったデジタル時代の現代であればなおさらである。そうした時代にあえて手紙を書くとすれば、よほど相手に伝えたいことがある時だろう。便箋に綴られた一文字一文字には心が宿っている。写経は仏菩薩に祈りを込め願いを託し、自分自身を見つめ直し、自問自答をする。いわば仏菩薩や自身に宛てた手紙だと言える。
■真摯な心になる写経
お経に神秘的な力が宿っているのか筆者にはわからないが、長い歴史を通じて様々な人が託した思いが込められていることは事実である。仏の教えと古来より伝わる尊い言霊に触れ、書く。写経を行う人が真摯な心持ちでお経に向き合うことは間違いない。その非日常的体験は確かに心に何かを残しそうである。コロナ禍の現在、寺院に足を運ぶことも難しいが、ボールペンで書く写経テキストも発売されているようだ。ストレスが溜まる日々の中、まずは30分でも仏の言葉に触れてみてはいかがか。
■参考資料
■中尾将大「日本人における『写経』にまつわる心理的効果ー説明仮説の提言ー」『日本仏教心理学会誌』第5号(2014)
■玄侑宗久「現代語訳 般若心経」ちくま新書(2006)
■ブックスエソテリカ第27号「お経の本」学研(2001)