仏教の総合大学と呼ぶに相応しい比叡山延暦寺を開いた天台宗の最澄 (1/4ページ)
受験生とパワースポット巡りをするような人を除けば、現代の日本人のほとんどが仏教といえば葬式のイメージが強い。浄土宗と浄土真宗の違い、臨済宗と曹洞宗が同じ禅宗であることも認識していない人が多数ではないか。その教えの特徴を知れば仏教の多様性に驚くことだろう。そしてそのほとんどが伝教大師・最澄(767~822)の開いた天台宗を起源とするものである。
■仏教の人気ランキングや認知度を考えると…
仏教に触れようという人たちに人気と知名度が高いと思われるものに禅が挙げられる。禅・座禅と聞いて何のイメージも湧かない人は少ないと思われる。
次いで密教系。真言密教とチベット密教がランクインすると思われる。神秘体験やオカルト的嗜好の人には定番といってよく、漫画やアニメにも頻繁に登場する。近年では上座部(南伝)仏教系のテーラワーダ仏教が急上昇中である。マインドフルネス瞑想との親和性や、アルボムッレ・スマナサーラ老師の活躍もあり、また既存仏教の堕落したイメージからこれぞ正統派の仏教だと絶賛されている。
浄土系はそれ自体はあまり人気があるとは言えないが、書店を覗くと親鸞と、親鸞の言葉を集めた「歎異抄」を扱う書籍が多く見られる。煩悩だらけの凡人を癒やしてくれる内容が日々の生活に疲れている人たちに好評のようだ。
日蓮系は与党・公明党、創価学会など政治的関心を集めている。また奈良仏教の最大宗派・法相宗の教学・唯識は深層心理学との比較などで注目されている。
こうした中で影響力の大きさに比して影が薄いように思える大宗派が天台宗である。
■日本天台の思想とは?天台本覚思想とは?
日本の天台宗は最澄が中国に渡り、天台智顗(てんだい・ちぎ538~597)が確立した天台教学を中心に、密教、戒(律)、禅の四種を相承し組み込んだ総合宗派である。最澄が開いた比叡山延暦寺は仏教の総合大学となっていた。
天台教学は私たちがこの現実世界をどう捉えるかについて、「仮」「空」「中」を説く。元々仏教では現実世界は本来は存在しない「空」であり、現実世界は「仮」の世界であるとした。しかし「空」である=どうせ何も存在しないというニヒリズムに陥る危険があった。