源頼朝の先祖と死闘を演じた藤原経清(奥州藤原氏祖)の壮絶な生涯【その4】 (5/9ページ)
国府軍に突入する安倍貞任と捕縛される藤原経清。(写真:Wikipedia)
嫗戸柵が落ちたことで、延べ10年にもわたった「前九年の役」は終焉を迎えました。安倍一族の多くは討死にし、生き残った者たちも国府軍によって捕縛され、その中には藤原経清もいました。
経清捕縛の報を受けた頼義は大いに喜び、自ら検分を行うため経清を引き出します。
頼義:お前は源氏累代の家臣でありながら余を裏切った。それにも増して許されないのは、朝廷の御威光を蔑ろにしたことである。お前は、ここにいたっても、まだ白符を使うとほざくのか!
そこに重傷を負い、瀕死の状態の貞任が板戸に乗せられて運ばれてきます。貞任は、頼義の顔を一瞥すると息絶えてしまいました。
「前九年の役」の顛末を記録した『陸奥話記』によると、この後、意気消沈する経清を頼義が鈍刀により、鋸引きという残虐な手で処刑したとされます。しかし、いかに頼義が経清を恨んでいたとしても、そこまでやるには理由があったのでしょう。
貞任は、薄れゆく意識の中で経清の存在を確認したはずです。その経清が、いま頼義の面前にいる。
