「障害がある子のための塾でバイトしていた学生時代。生徒が慕ってくれていたのに、私はその信頼に背き...」(神奈川県・50代男性) (2/3ページ)
例えば、日本地図を黒板に貼って、今いるのはどこなのか、ここに行けば何があるのかといった、2年生から5年生までみんな一緒に楽しめるような内容です。
塾長さんは私が毎回行う授業を「楽しくていい」と褒め、子供たちも授業の終わりには「えーっ、もうおしまい?」と言ってくれました。
大学の友人に、塾講師のアルバイトを始めたことを話すと、みんな羨ましがります。
ただ私は彼らに、知的障害のある児童のための塾であるとは言えないままでした。
大学の仲間たちと歩いてると、正面から子供たちが塾のシフトが入っていないある日、4限目の講義を受けた後に友人6人くらいで駅へ向かっていました。その中には気になっていた同級生の女子もいて、どうやって食事に誘おうかなどと目論見ながら歩いていた記憶があります。

通ったのは駅へ通じる雑多な商店街。少し先の左の路地にバイト先の塾があるというところで、私は道の前方から塾の子供たち4人が歩いて来るのに気づきました。
これから塾へ行くのだろう。私の顔を見たら、きっとみんなは「先生ー!」と言って抱きついてくる。そして、今日は私の番でないことを知って、残念そうに塾へ向かうことだろう。
そう思いながらも、私は目立たないように6人の最後部に移動して、うつむきながら集団に紛れました。
「恥ずかしい」――そんな思いがふっと脳裏に浮かんだのかもしれません。
私は子供たちに気づかれずにすれ違うのを、ひたすら待っていたのです。
「先生、目痛いの?」次のシフトの時、塾に入るといつも通り子供たちが「先生ー!」と言いながら、私にしがみついてきてくれます。私は「ああ、なんてことをしてしまったのだ」と思い、耐え切れずに泣いてしまいました。子供たちは心配そうに「先生、目痛いの?」と言ってくれました。