上杉謙信の「敵に塩を送る」は商戦でも美談でもなかった?そこには今川氏真の策略が! (3/4ページ)
信玄とその重臣たちは感動し「味方に欲しい大将よ」と感嘆しました。
つまり、謙信は無償で塩を大量に送ったわけではないのです。ただ高値で売りつけることもせず定価を厳守しただけです。では、なぜ謙信はそのような対応をしたのでしょうか?
実は、今川氏真が「塩留め」を行った本当の理由は、武田家領内の塩の値段を高騰させ、領民の怒りを上杉に向けさせて武田と上杉の和議を破談にすることだったのです。
策士・今川氏真上杉家は、武田・北条・今川の三国同盟と対立して長年激戦を繰り返していましたが、謙信が担ぎ上げていた近衛前久が京都に遁走してしまい、関東で戦う意義を失っていました。
謙信は東国の戦争を終結させたいと考えていました。将軍就任を望み越前に滞在していた足利義昭も、彼らと和睦して上洛するよう謙信に要請していました。
この要請は三国同盟側にも伝えられており、これを好機とみた信玄は侵攻先を上杉領から弱体化した今川領に変更することを考えていたのです。
これに危機感を覚えた氏真は次のように考えたのです。
武田領内を塩不足に追い込めば、上杉領から信濃と上野の武田領に輸出されている塩の値段は高騰する。その結果、領民は、塩留めを実行させた氏真よりも、目の前で暴利を貪る商人とその背後にいる上杉を恨むことになるのではないか? そうすれば、長年敵対していた両家の関係は簡単に破綻するのではないか?
氏真、実はなかなかの策士だったのですね。