「従業員のモチベーション向上」は不可能 人事評価制度の本質とは (1/5ページ)
「人事評価制度があれば、従業員がやる気を出すはず」
そう考える経営者は、特に中小企業、ベンチャー企業に多い。人事評価の基準が透明化され、昇給するには何をすればいいのかが明確になるため、従業員は仕事に励むようになる。そうなればきっと業績も向上するはずだ。経営者は頭の中でこんな皮算用をする。
『中小ベンチャー企業を壊す! 人事評価制度 17の大間違い』(白潟敏朗著、すばる舎刊)は中小ベンチャー企業経営者のこんな期待を一蹴する一冊。人事評価制度にまつわる誤解を指摘し、その性質と本来の導入の意味を説いていく。
なぜ人事評価制度はこうも経営者の期待を集めるのか。今回は著者である白潟総合研究所代表取締役社長の白潟敏朗さんと同社取締役の石川哲也さんに、この背景について語っていただいた。
■なぜ経営者は人事評価制度を「魔法の杖」だと勘違いしてしまうのか――人事評価制度に関する本が多く出回るなかで、ほとんどは中小企業が人事評価制度を導入することで「業績アップにつながる」「人材育成に効果的」「従業員のモチベーションが向上する」など、会社にとってメリットがあるとしています。ただ、今回の白潟さんの本はそうした「効果効能」を明確に否定されています。経営者側が人事評価制度にこのような過大な期待を抱いてしまう現状も指摘されていますが、なぜ経営者は人事評価制度に大きな期待を持ってしまうのでしょうか?
白潟:私はコンサルタントとして34年間で1万人以上の経営者の方々とお会いしてきました。その中で感じることは、「なんでも解決できる魔法の杖」を求めているんですよ。そしてその願望にフィットするのが人事評価制度なんじゃないかと。
これは我々コンサルタントの中に、あたかも人事評価制度を採り入れれば、あるいは採り入れて人事評価制度を変えれば、会社の問題がすべて解決するかのように話す人がいるからでもあるんです。結果、経営者は「魔法の杖」が本当にあると思い込んでしまう。