ヨーロッパウナギはすべてバミューダトライアングルから来ている。だが誰もそれらを見たことがない (4/6ページ)
このタグは、所定の時間が経過すると対象から外れて海面に浮上し、データを回収することができるものだ。
前出の2022年に発表された研究では、このPSATを利用して、バルト海、ケルト海、北海、ビスケー湾、地中海西部から回遊する80匹以上のウナギを追跡した。
ここから回収したデータからは、出身地が異なるこれらウナギの移動ルートが、ヨーロッパとサルガッソー海の中間にあるアゾレス諸島(大西洋北部のポルトガル領の島群)を通過すると合流する様子がわかった。
しかし、このウナギたちが最終目的地に到達するのに6ヶ月以上かかってしまい、PSATが謎の産卵場所を特定するのに時間がかかり過ぎた。
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論文では、ヨーロッパウナギの成体がサルガッソー海の繁殖地へ移動していることを示す初の証拠を発見したと報告されている / image credit::nature・交尾、産卵、死を迎えるまでに長距離の旅をするウナギ
そこで、新たな解決策が編み出された。優位なスタートを切ったウナギにタグをつけることにしたのだ。
2018年と2019年、アゾレス諸島で26匹のメスのヨーロッパウナギにPSATを取りつけた。メスのほうが体が大きく、タグがつけやすいからだ。このウナギたちは産卵場所と思われる地点まで2500km泳いだことがわかった。
途中でタグが失われたり、捕食されてしまったウナギもいたが、最終的に最長1年間追跡することができ、ヨーロッパウナギの成体がサルガッソー海の推定産卵場所に到達した直接の証拠を初めて示すことができた。
この発見は、ウナギの移動のルートを詳しく知る上で非常に重要なものとなるだろう。