遊びせむとや…実に業が深い後白河院がまとめた平安時代の今様集『梁塵秘抄』の歌を紹介! (6/7ページ)
女の怨みと浮気男の言い分
(三三九)われを頼めて来ぬ男 角三つ生ひたる鬼になれ
さて人に疎まれよ 霜 雪 霰 降る水田の鳥となれ さて足冷たかれ
池の浮草となりねかし と揺りかう揺り揺られ歩け※『梁塵秘抄』巻第二
【意訳】私をその気にさせておきながら、その後まったく音沙汰のないあの男が、角三本の鬼になってしまえばいいのに。そして人から嫌われるがいい。
あるいは冬の冷たい田んぼの水に足を漬ける水鳥になってしまえ。霜が降り、雪や霰が降りしきる中、足が凍えることだろう。
あるいは池の水草となり、風の吹くままどこにも安住できずに彷徨い歩くのがお似合いだ!
(三四二)美女(びんぢょう)うち見れば 一本葛(ひともとかづら)にもなりなばやとぞ思ふ
本より末まで縒らればや 切るとも刻むとも 離れがたきはわが宿世(すくせ)※『梁塵秘抄』巻第二
【意訳】美女を見るたび、私は葛の蔦(つた)になりたいと思う。
美女という樹の根元から枝先まで、びっしりと絡みつきたい。たとえ切り刻まれる末路をたどろうとも、離れることが出来ないのは私の宿業なのだ。
……浮気男に対する女の怨みと、浮気男の言い分が実に業深く表れています。