『べらぼう』明暗分かれた“桜”…田沼意知と誰袖の幸せな桜と、追い詰められ悲劇を招いた佐野の枯れ桜【後編】 (3/8ページ)
当時、佐野政言が、田沼意次(渡辺謙)という最高権力者の息子で若年寄りの要職に就いたばかりの意知(宮沢氷魚)を将軍のお膝元で刃傷におよんだ動機については、さまざまな噂が流れました。
佐野の系図を田沼家に貸したのに返さなかった・「佐野大明神」という神社を「田沼大明神」という名前に変えた・佐野家の七曜の旗を貸したら返さなかった・金を贈るも昇進させてくれなかった・将軍の鷹狩りの際、政言が鴨を射止めたが意知のせいで手柄が認められなかった……などいろいろあります。
ドラマの中でも、その噂を取り入れつつ、佐野政言のキャラクターも丁寧に描かれていました。
田沼派の勘定組頭・土山宗次郎(柳俊太郎)とコネをつくろうと、長谷川平蔵(中村隼人)らの狂歌会に訪れるも、押しの強いキャラに囲まれ気後れして挨拶できずに去っていってしまったり。
老いた父・政豊を桜の木の近くに連れ出し「今年も見事に咲きましたな」と話しかけても「ところで、佐野の桜はいつ咲くのだ?」と返され、寂しそうに「もう…咲いておりますよ。父上」と答えたり。
引っ込み思案で、コミュニケーションが苦手で、遠慮がちで、内面にストレスを溜めてしまいそうな人柄のうえ、家では認知症になり判断力を失っている父親の介護。