『べらぼう』明暗分かれた“桜”…田沼意知と誰袖の幸せな桜と、追い詰められ悲劇を招いた佐野の枯れ桜【後編】 (7/8ページ)
蔦重にとっての歌麿(染谷将太)やてい(橋本 愛)のように、いつも状況を見守っていて、適切なアドバイスをくれる家族がそばにいたら。
父親が、蔦重の養父の駿河屋市右衛門(高橋克実)のように、乱暴ながらも愛が伝わってくるような人だったなら。
蔦重はじめ身寄りのない子どもたちを育て見守る慈愛の人、駿河屋の女将ふじ(飯島直子)のように、頼もしく守ってくれる人がいたなら。
心まどわされず刃傷沙汰を起こすまで追い詰められることはなかったのでは。
意知と誰袖の二人の未来が壊れることもなかったのでは。と、幾重にも残念に思いました。
心の底から振り絞るような「なにゆえこうも違うのかの…」「なにゆえこうも違うのかの…」
花を咲かさない桜に刀を抜いて、「咲け」「咲け」とよろめきながら斬りかかる父。すっかり耄碌してしまった父の姿を見つつ、そう呟き涙を流す政言。
父を止めようとし何度も打ち据えられる佐野政言。見ているほうが目を覆いたくなるほど辛い場面でした。演じる矢本悠馬さんの抜群の演技力もあり、人の心が壊れた瞬間が分かるあまりにも哀しい場面でした。
その夜。「ある覚悟」を決め、刀の手入れをする政言。