『べらぼう』明暗分かれた“桜”…田沼意知と誰袖の幸せな桜と、追い詰められ悲劇を招いた佐野の枯れ桜【後編】 (8/8ページ)
田沼憎しもあったのでしょうけれども、枯れた桜と同じで、この先佐野家は衰退するだけ、一条の光もささない暗闇のような出口のない自分の人生をもう終わらせてしまいたい、という思いのほうが強かったのではないでしょうか。
単純に恨みや怒りでかっとなり刃傷に及んだのではなく、佐野政言という人物の性格や心が揺れ動きながら暗闇に向かっていく様子を、丁寧に繊細に描いていたのは森下脚本ならでは。
幸せそうな誰袖と刀を抜いて意知に斬りかかる佐野政言の姿が重なるという、胸詰まる場面で終わりました。
史実では田沼意知を斬ったことで「世直し大明神」として庶民に称えられたという政言。けれど、決してそんな称号が欲しかったわけでも、庶民の英雄になりたかったわけでもなかっただろうに……と、思わされる回でした。
桜に彩られて幸せそうな意知と誰袖に降りかかる凶行。次回どのように描かれるのか、史実を覆すようなハッピーエンドにはならないでしょうから、少しでもそこに救いがあればいいのにと思いつつ、見守りたいと思います。
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