『べらぼう』鳥山石燕が見たのは平賀源内!?美人画絵師・歌麿の誕生と謎の雷獣の正体【前編】 (3/7ページ)
さらに、今回、かつて廃寺で自分が捨てようとした絵を拾い集めてくれた女性きよと再会。耳が聞こえず言葉も話せない彼女に絵のモデルになってくれと頼みます。
歌麿の言葉が聞こえないきよが差し出した紙切れには「きよ 一切 廿四文」の文字が。これは体を売る女性の料金のことです。“一切(ひときり)は線香1本が燃え尽きるまでの時間”。その間だけ、体を売るのです。それが24文とは、当時最下級とされていた「夜鷹」と同じ。
以前、吉原の場末にある最下級の女郎屋では、女郎の揚代は“一切百文”……という話が出てきました。きよは洗濯女という仕事をしてますが、それだけで生計を立てるのは難しく体を売っていたようです。
自分と同様に辛苦を舐めて生活をしてきただろうに、不思議と曇りのない表情のきよに惹かれたのでしょうか。歌麿は、きよを観察しながら絵を描くうちに、彼女のくるくると変わる豊かな表情を見て「何を考えているんだろう」と想像するのが楽しみになっていきます。
おかげで、いきいきとした生身の女性を見て“絵”を描けるようになった歌麿。そんな彼女を愛おしく思うようになり、所帯を持つことを決めました。
きよを見つめながら筆を運ぶ歌麿の表情が、今までみたこともない慈しみと優しさ、そして平穏に満ちていたのがとても印象的。