『べらぼう』歌麿の欲からひらめいた!「男女」を超越し愛する蔦重の仕草で誕生したあの美人画【後編】 (7/8ページ)
愛する人の想いが「小道具を使う」という発想へ
蔦重の煙管を吸う姿に見惚れた歌麿の心中には、
蔦重と、昔のように、絵作りで意見を戦わせる時間が戻ってきたことへのうれしさや、シンプルに蔦重の美しい横顔に見惚れ「やっぱりきれいだなあ、蔦重は」という想いも去来したでしょう。絵師として「このきれいな顔を描きたい」という気持ちもあったと思います。
けれども、さすがは歌麿。ただそのままうっとりしているのではなく
「小道具、使うってなぁどう?キセル、手鏡、手拭い、提灯、ポッピン。小道具を扱う仕草には人柄出やすいだろ」
と、アイデアが湧き気分を切り替えることができました。
血が繋がっていない以上「蔦重の本物の家族、唯一無二の存在にはなりたい」という切ない“欲”は叶えられない。ならば、心通じ合えたきよと所帯を持ち自分だけの居場所を作れば叶わぬ想いも断ち切れる……そんな想いを抱きながら仲良く過ごしたきよとの生活も影響したのでしょうか。
蔦重への複雑な想いをすぐにアイデアに切り替えるあたりは、変わったなと思いました。けれど、そういうデリケートな感情には鈍感な蔦重に肩を抱かれたり揉んだりして親しげなスキンシップをされて、同様し激しく拒絶してしまいます。