小林製薬紅麹事件研究解説 厚生労働省への情報開示請求により判明225社公表、意思決定の公式記録なし (5/7ページ)
・ 取引量は約50%減少
・ 紅麹関連売上が半減(2024年以降継続)
・ 回復の見通しは現時点で立っていない
【業界への打撃】当社調べによれば、紅麹関連事案発生以前には国内で紅麹食品を取り扱う業者は約300社存在していたが、現在では10社未満にまで激減している。この業界縮小は、今回の行政対応と企業名公表が直接的な契機となっている。
■ 問題の本質
本件は、行政が根拠文書を持たないまま企業名公表を行った可能性を示すものである。
機能性表示食品(サプリメント)に用いられる紅麹原料と、食品素材としての紅麹は、製造工程・摂取量・リスク特性において異なる。両者を同一視することに科学的根拠はなく、小林製薬の問題を食品素材としての紅麹全体に拡大することは適切ではない。
原因の特定が行政として確定していない段階で行われた企業名公表が、社会的制裁として先行したことにより、別カテゴリーの無関係な事業者が不可逆的な損害を受けた構造が、今回の情報開示請求の結果として浮かび上がっている。
さらに、情報開示請求への回答から、以下の全てが確認できない状態にある。
・ 誰が(担当部署・決裁者)
・ いつ(判断日時)
・ 何を根拠に(判断根拠)
企業名公表を決定したのかが、公式記録として存在しない。「政策判断が記録なしで行われた可能性」という、行政の説明責任に関わる重大な論点である。
■ 行政に求める対応
【最優先事項】
① 企業名公表の意思決定過程(担当部署・日時・根拠)の開示
【次段階】
② 有識者会議議事録の完全公開
【被害回復】
③ 補償基準の策定と具体措置
行政判断の過程を記録として残すことは、行政の説明責任および記録主義の根幹である。本件はその根幹が確認できなかった事案として、紅麹問題の枠を超え、行政の統治のあり方そのものを問う問題である。