【香港民主化デモ】中国政府「便衣兵」が学生を襲撃

デイリーニュースオンライン

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中国政府が雇った「便衣兵」がデモ隊襲撃?

 香港で民主化を求めるデモが続いている。学生を中心とした数十万人は、梁振英行政長官の辞任を求め、政府機関が集まるエリアや商業地区を一週間以上にわたって占拠している。香港当局は、対話の構えとともに強制排除の可能性も示唆しているが、両者の主張は平行線をたどったままだ(現地時間10月5日18時現在)。

 一方、デモの長期化につれ、参加者たちの間にもある異変が起きている。これまでデモの現場では、参加者自身と各国の報道機関、見物人たちが動画や写真を積極的に撮影してネット上に投稿。それがネットやメディアで拡散し、デモの認知や支持が世界に広がったという経緯がある。

 しかしここに来て、カメラに背を向けるデモ参加者が多くなっているのだ。また、デモ隊が設営したテントには「写真撮影禁止」と書かれた張り紙が貼られるという事態に。この件について、複数のデモ参加者に聞いたところ、これには主に2つの理由があるという。

 ひとつは、メディアやネット上で顔を露出されることで政治的な色がつき、将来的に自分が偏見の対象となることを恐れているというもの。デモ参加者への医療ボランティアを行う女子看護学生は、「私も民主派のひとりだが、学連(デモの中心的存在となっている民主派系学生団体「大学生連合会」)の主張のすべてを支持しているわけではない。顔写真が出回り、学連のメンバーだと思われ、弁解の場も与えられない」と話し、就職活動をはじめとする今後の社会生活への弊害を心配していた。

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 そしてもうひとつの理由が、写真や動画によって個人が特定され、攻撃対象となることへの恐怖である。10月3日夜、旺角などの繁華街でデモ隊は、今回のデモに反対の立場をとる者たちから暴行を受け、40人以上のデモ参加者が負傷するという流血事件も起きている。香港マフィアが介入したとの情報や、警察が見て見ぬふりをしていたという目撃情報もあり、当局への批判が高まるきっかけともなった。

 この件に関し、中国人民解放軍の駐香港部隊ビル前で、警備中の警察官を詰問していた男子大学生は、「中国政府が雇った便衣兵(民間人に偽装した兵士・工作員)に違いない」と断定していた。前出のオキュパイ・セントラルの複数の幹部は、何者かによる脅迫状を受け取ったと明かしている。

セクト化するデモ。内部分裂してしまう!?

 各地のデモ現場でも、「香港政府には民主化の決定権がない。やるなら北京に行ってやれ!」「デモによる経済的損失を考えろ!」と言った罵声が上がり、デモ参加者たちとのつかみ合いの小競り合いがたびたび発生していた。

 梁振英行政長官の辞任を求めて集まったデモ参加者たちも一枚岩ではない。実は各団体ごとに主張も様々なのだ。例えば、今回のデモのきっかけを作った民主派団体「オキュパイ・セントラル」の共同発起人で香港大学法学部の戴耀廷は、6日までにデモを中止するよう呼びかけている。デモに参加する学生たちの間でも、中止と継続は議論の対象となっている。

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 現場ではデモ参加者たちがセクト化しつつあるという話もある。「学連は私の代表ではない」と書かれた張り紙(写真参照)が随所で見られるようになったからだ。

 中国共産党の支配に異を唱え、若者が立ち上がった今回のデモは国際的にも注目されている。しかし、内部分裂や世論との温度差であっけなく終焉を迎えた、1960年代の日本の学生運動のようになってしまうのかおそれもある……。

(取材・文・写真/奥窪優木)

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