叱られてる内が華?「武士の世」を目指した源頼朝の意識改革と、違反した御家人への悪口雑言を一挙公開 (7/7ページ)

Japaaan

(※厳密には、名前の下が空欄だったり、右に「同じ」とだけ書かれている者もおり、個々に対する頼朝公の怒り度合いに温度差を感じます)

それにしても、よくまぁここまで御家人ひとり一人を見て・覚えているものだと呆れるやら感心するやら。

けなす時は感情むき出しでけなすけれど、平素から御家人たちに目を向けて、心を寄せて来たからこその「愛の鞭」。

そんなところも、御家人たちから慕われた頼朝公の人間的魅力なのかも知れません。

共に「武士の世」が描けるか?

……しかし、空恐ろしいのは、これだけ御家人みんなに罵声を浴びせていながら、勝手に官位を受けた筆頭格である筈の義経に対する批判は元より、その名前すら書いていない事です。

これを「さすがの頼朝公も、弟には若干なりとも遠慮があった」と見るか、あるいは「もはや罵声すらかけない≒もう見棄てるつもりでいた」と解釈するかは微妙なところです(たぶん後者でしょう)。

少なくとも、他の御家人たちに対する罵声は「お前らしっかりしろ!目を覚ませ!」という叱咤激励でもあり、よく「叱られている内が華」と言いますが、まさしくそれを感じます。

※実際、この時に罵倒された御家人たちは、後で何だかんだ言って赦されています。

義経は、頼朝公の思い描く「武士の世」が理解できず、あくまでも武士は「朝廷≒公家に仕えるべき存在(地下人)」と考え、そうした価値観の相違が兄弟の訣別を招き、やがて悲劇を生み出したのかも知れません。

※参考文献:『全譯 吾妻鏡 第一巻』新人物往来社、昭和54年8月20日 第四刷

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