臨床心理士が教える! 人の話しを上手に聞く「傾聴」の姿勢とコツ (1/3ページ)
きちんと話しを聞いているつもりでも「聞いていないのでは?」と言われる、返事がズレて会話がかみ合わない、と思う人は多いのではないでしょうか。そこで、臨床心理士でスクールカウンセラーの藤永聡美さんに、「人の話しを聞くコツ」について尋ねてみました。
■聞き下手は、相手の話しに集中していない
「コミュニケーションの基本は『話す』と『聞く』ですが、特に『聞く』ことは意外と難しいものです」と話す藤永さんは、その理由をこう説明します。
「相手の話しに出てくる言葉の意味、伝えたいことを正確に聞き取らなければ、受け手が何を言おうとも会話にズレが生じます。特に、話しの内容に込められている感情を取り間違う、早合点すると、『この人は分かっていないな』と受け取られてコミュニケーションが成立しなくなるでしょう」
「話を聞けていない」と言われる理由はそこにあるのでしょうか。
「話しを十分に聞けないのは、内心、『どんな言葉を返そうかな』と徐々に自分の思考に気を取られて、自分の意見を話したくなるからです。この時点で、相手の話しを集中して聞いていないと言えるでしょう」と言う藤永さんは、そうなる主な理由について、次の8つのポイントを挙げます。
(1)アドバイスや説教をしたくなる。
(2)自分にとって興味があること、関心があることに話題を変えたくなる。
(3)自分の体験談や考えを話したくなる。
(4)興味本位で必要以上に質問する。
(5)批判したくなる。
(6)一般化する。
例えば、「普通はそんなもの」、「誰にでもあること」など
(7)価値を下げる。
例えば、「気にするほどのことじゃないよ」、「たいしたことじゃない」など
(8)冗談で返す。