秋津壽男“どっち?”の健康学「難聴と耳鳴りで病院に行くべきは?“怖い耳鳴り”は1種類しかない!」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「難聴と耳鳴りで病院に行くべきは?“怖い耳鳴り”は1種類しかない!」

 師走を迎えて忙しくなりました。現代社会はストレスとの戦いですが、1年でいちばん忙しいこの時期、なるべくストレスをためないのが、楽しいお正月を迎える秘訣です。

 ストレス性の病気や疾患は数多くありますが、耳のトラブルもその一つです。ある日突然耳が聞こえにくくなる、あるいは耳鳴りが聞こえるなどですが、そこで質問です。難聴と耳鳴り、病院に行くべきはどちらでしょう。

 本人にとってはやっかいな耳鳴りですが、医学的には大した病気ではありません。

 耳はマイクの役割を果たしています。マイクが拾った音を脳で処理していますが、耳鳴りは「マイクの劣化」であり、何年も耳を使ってきた結果、よけいな信号が出てしまうのが、耳鳴りのメカニズムです。

 ある日突然「キーン」や「ジーン」という音が聞こえてきます。しかしノイズが鳴り続けていると、人間の脳は「このノイズは無害だから無視していい」と学習しマスキングをしてしまいます。無視して耳鳴りに慣れてくると2~3カ月で聞こえなくなりますが、時間がたつと別の音が聞こえることもあります。

 静寂な部屋で耳を澄ますと聞こえる冷蔵庫やパソコンのファンの音も、家族と会話をしたり勉強に集中すると聞こえなくなります。これと同じで、耳鳴りは意識するほど聞こえますが、何かに集中すると気にならなくなります。音楽やテレビをかけると聞こえなくなります。

 つまり、耳鳴りの治療は「気にしないこと」です。ちなみに厚労省の薬のリストのうち、耳鳴りに効く薬は「ストミンA」という1種類だけですが、あまり効きません。現代医学では耳鳴りを完全に治す方法は存在しないのです。

 それでも「怖い耳鳴り」が一つだけあります。「ザ・ザ・ザ・ザ」という拍動性の耳鳴りが聞こえると脳動脈瘤の可能性があり、これは医者にかかるべきですが、「キーン」や「ジーン」という耳鳴りは、単なるノイズ。会話にさえ困らなければ放置して大丈夫です。

 逆に耳関係で怖いのは「突発性難聴」です。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「難聴と耳鳴りで病院に行くべきは?“怖い耳鳴り”は1種類しかない!」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 12/22号耳鳴り“どっち?”の健康学秋津壽男ストレス社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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