ルパン一味の家紋も制作!? 家紋の歴史を絶やさない…紋章上絵師・波戸場承龍さんインタビュー (6/8ページ)
市川海老蔵さんが、ドラマで石川五右衛門を演じられましたが、市川家の家紋の三枡にも掛けています。不二子は藤の花で蝶、胴体が口紅、中央に峰の字を置きました。銭形は輪が十手、旭日章に「銭」です」
−−ファンにはたまらない演出ですね。こういうお話を聞いていると、伝統的な家紋の成り立ちにも興味がわいてきます。
以前、テレビ番組「デザインあ」(NHK)に出演されたとき、波戸場さんは筆を使用して、精緻な幾何学形態を描いていらっしゃいました。非常に柔軟な発想でデザインのお仕事をされていらっしゃいますが、技術面でも、現代的な要素を取り入れていらっしゃるのでしょうか。
「上絵師の仕事は、分廻し(竹製コンパス)と筆と溝引きを持ち、定規の溝に滑らせ直線を引いて描きます。現在は『KAMON-KOMON』『紋鑑』を手描きで作っています。「紋鑑」とは家紋の雛形で、紋付を作る際に見本で業者に渡すものです。
それと併行して、時代の需要に応える形で、現在はデジタルデータでの納品も行なっています。社名変更後、Macを導入して、AdobeのIllustrator(描画用ソフト)で、家紋を描き始めました。紋は線対称・回転対称なのでパソコンと相性が良いんです。また、家紋加工の新しい試みとして、スワロフスキーのクリスタルで家紋を施すといったことも行なっています。
昔ながらの紋章上絵師の道具。左から、溝引き定規、溝引き棒、筆、分廻し、墨と硯。画像提供:京源
−−なるほど。時代に即した家紋の展開ですね。現代の日本人の日常生活においては馴染みの薄くなってしまった家紋ですが、先ほどご紹介いただいたお仕事の数々を拝見していると、私たちは家紋の付いているものに、自ずと伝統や格式のイメージを持つようです。