アダ・ブラックジャック。北極遠征隊に加わり極寒の島に置き去りにされ唯一生き残った奇跡の女性サバイバー物語 (3/9ページ)
ベネットは結核にかかっていて普段から体が弱かったが、アダは適切な治療を受けさせてやることもできなかった。やむなく、アダはベネットを地元の孤児院にあずけて、なんとかお金をつくって必ず迎えにくると息子に誓った。

アダ・ブラックジャックとその息子ベネット(1923年11月)image credit:TOPFOTO/ THE IMAGE WORKS
・カリスマ探検家による無計画な北極遠征プロジェクトが始動
この頃、アダはヴランゲリ島の探検の噂を聞く。探検隊が英語を話すことができるアラスカ原住民の針子を探しているというのだ。だが、カリスマ的北極探検家ビリャルマ・ステファンソンが組織したこの遠征隊は、最悪なことにわがままで傲慢な連中の集まりだった。
ステファンソンは、熟練探検家としての自分の名を利用して、そのスター性に魅せられた4人の若者、アラン・クロフォード(20)、ローン・ナイト(28)、フレッド・マウラー(28)、ミルトン・ガル(19)を招集し、大英帝国のためにヴランゲリ島を獲得するという名目でこの計画性のない冒険を遂行した。
だが、実際には英国自体はこの島に少しも興味も示していなかった。遠征隊を編成して資金を集めたものの、ステファンソン自身は遠征には加わるつもりはなく、経験もないこのお粗末なチームを、たった6ヶ月分の装備を持たせただけで、北の果てへ送り込んだのだ。
翌年に船が迎えにくるまで、すばらしい北極が有り余るほどの獲物を提供してくれると虚しい確信をいだかせたまま。