「もし宇宙人と出会ったら?」という疑問から、現代のコミュニケーションを考える-京都大学木村大治教授の研究 (6/8ページ)

学生の窓口

ですから思考実験を重ねたり、人間と違うもの、人間から離れたものとして「動物」とのコミュニケーションについて研究するといったことを行っています。

――宇宙人の住む場所に行ったりはできませんものね(笑)。

木村教授 行きたいんですけどね(笑)。

「宇宙人類学」の研究が実生活に与える影響

――研究に対してすぐに成果を求めるのは、あまりよろしくない態度かと思うのですが、宇宙人類学の研究は私たちの生活に影響を与えるのでしょうか?

木村教授 この研究は他者とのコミュニケーションの仕組みを理解しようというものですから、実生活でも役に立つ面はあると思いますよ。

現代人は「他者をどう考えるか」に悩んでいることが多いですね。「他者理解に渇望している」といってもいいと思います。

――アドラー心理学※4が流行したりするのもそのせいかもしれませんね。

木村教授 そうですね。「他者理解」というのは、なんやかんややっているうちに徐々に共通の場が形成され、そこから生まれるものです。

他者とのコミュニケーション、その生成を考えると「相手がわからないことのほうが普通なんだ」ということが理解できます。またコミュニケーションには「こうするのがいい」という決められたやり方はないということもわかるでしょう。

これらの理解は、現代人が持つコミュニケーションに対する「ある種の思い込み」を変えることができます。そうすれば「他者理解への渇望」もずっと軽減されるはずです。

――なるほど。生きていく上での「気持ちの持ちよう」が、がらりと変わるかもしれませんね。

※4
心理学者アルフレッド・アドラーは「全ての悩みは対人関係の悩みである」としています。

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