エリには「2度目のデート」がない#夢みるOLの終わらない恋のはじめかた (4/6ページ)
「お姉ちゃんありがとう!ごめんね散らかってて!」
インターホンを押すとすっぴんの妹が姪っ子を抱いててきた。すっぴんでも顔はかわいいし、散らかっててもタワマンは広い。
妹によく似た姪っ子は、すでに妹同様イージーモードな人生のスタートを切っている。
まだ首も座っていない姪っ子にまでこっそり嫉妬心を感じてしまったことに、エリは猛烈に恥ずかしくなった。
「お姉ちゃん、ちょっと見てて」家に上がるなり妹に渡された姪っ子を抱っこする。じっとこちらを見つめる黒い目は大きく澄んでいて、抱っこしているだけなのに屈託のない微笑みをこちらに向けている。本当にかわいい。
「さすがお姉ちゃんだね! この子、私以外の抱っこだといつも泣いちゃうんだよ!こんなにニコニコしてるのお姉ちゃんくらい。やっぱ似てんのかな?」
「え!?私とリカが似てる?」エリは驚く。
「そーだよー!口とか鼻とかそっくりじゃん!友達とかにお姉ちゃんの写真見せるとみんなそっくりって言うよー」
エリにとっては意外な言葉だった。二重でかわいい妹と、一重で野暮ったい私は全く似ていないと思ってたが、どうやら口元と目元は似てるらしい。じゃあこの子にも似てるのか・・・ さらにじっと姪っ子を観察する。
「ねえちょっとお姉ちゃん見過ぎ。そんなにかわいい?」リカが笑う。
「まあね。私ってリカと全然似てないと思ってた。てか、リカだけかわいくて遺伝子は不公平だなって思ってたよ」
「なにそれ!初めて聞いた!」
「だってさあ、妹は商社マンの旦那捕まえてタワマン暮らし、かたや私は彼氏もいない一人暮らし。比べたくもなるでしょ!リカだけモテてずるいよ」ふざけてはいるものの、これがエリの本音だ。少し引かれたかな?と思ったが、リカは気にする様子もなく話し始めた。