世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第339回 合成の誤謬 (1/3ページ)

週刊実話

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第339回 合成の誤謬

 10月1日に「最悪最凶」の税金である消費税の税率が10%へ引き上げられた。結果的に、国民は消費を減らす、確実に。

 税金には、景気の安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)、所得の再分配、日本円の使用を強制(租税貨幣論)、政策的税制と、主に4つの役割がある。例えば、炭素税やタバコ税には、「企業の二酸化炭素排出を抑制したい」「人々がタバコを吸う本数を減らしたい」といった、予算や政府支出とは無関係な政策的目的がある。政策的税制という観点から言えば、消費税は「消費を抑制するための税金」であるため、増税すれば当然ながら消費が実質で減る。

 ところで、経済(経営ではない)には以下、5つの原則がある。
(1)国民経済において、最も重要なのは「需要を満たす供給能力」である。
(2)国民経済において、貨幣は使っても消えない。誰かの支出は、誰かの所得である。
(3)国民経済において、誰かの金融資産は必ず誰かの金融負債である。
(4)国民経済において、誰かの黒字は必ず誰かの赤字である。
(5)現代世界において、国家が発行する貨幣の裏づけは「供給能力」である。

 本稿の注目は「国民経済において、貨幣は使っても消えない。誰かの支出は、誰かの所得である」になる。

 改めて説明されれば当たり前だが、我々が買い物をしたとすると、確かに財布から貨幣が消える。とはいえ、この世から消えたわけではない。

 買い物の場合、貨幣は売り手のキャッシュレジスターに移っており、誰かの所得になっているのである。「個人」というミクロな視点では、確かに貨幣は買い物で消えるが、マクロ(国民経済)においては決してそうではないのだ。

 ちなみに、政治とは常にマクロである。政治とは「国家」がいかなる行政(あるいは「行政サービス」)を生産するかの決断であり、個人というミクロの問題ではない。

 さらには、政治とは予算というよりは「リソース(あるいは供給能力)配分」の問題で、全員が平等かつ公正に恩恵を受ける政策は存在し得ない。日本の場合は、財政的な予算制約はないが、供給能力、リソースに制限はある。

 制限がある以上、供給能力は「特定の国民」にのみ使われる。

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